2010年8月5日木曜日

小林傳司(こばやし ただし)先生のインタビュー その4

4.日本

―科学と宗教が深く結びついていたとすれば、日本の科学観は西洋のそれと異なっていることになりますか。

当然違ってくるでしょうね。
日本と海外とでは、宗教の見方から異なっているからね。
「宗教」というものと「religion」というものは、多少違うわけです。
例えば、「あなたの宗教は何ですか」ときかれたとき、日本人のなかにはよく「私は無宗教です」と答える人がいるけれども、海外でそのような答え方はけっこう危険なんですよ。
というのも、海外の人にとって宗教というものは、その人の「倫理観の根底をなすもの」というようにとらえられている。
だから、無宗教と答えてしまうと、「この人には倫理観の根底が存在しないのか」なんていう風に思われてしまうわけです。
日本には神学部というものは、あまりありませんが、宗教が盛んだった頃、ヨーロッパの大学には必ず神学部と医学部、法学部がそろっていました。
というのも、神学はキリスト教文化圏には絶対に欠かせないものでしたし、医学は人の病気を治すのに、法学は社会の秩序を保つのに必要だったからです。
日本の大学の場合は違っていて、神学部の代わりに工学部が重要な位置を占めている。
というのも、これは明治維新以来、日本は西洋に追い付け追い越せという目標を掲げていたからで、そのためにはやはり役に立つ工学ということだったわけです。
今見渡してみても、日本の国公立大学で工学部のないところはないでしょう?
日本は今までは、工学に力を入れ、西洋追従型の方法である程度はうまくやっていたわけだけれども、現在日本は世界を動かして、またはリードしていく側にあります。
日本これからどうやっていく?ということになると、
そこで重要なのはやはり、新しいコンセプトやアイディアですよ。
だから、これからみなさんにしてほしいことは、総合大学の強みをいかして、他の学部の人とぶつかってみることだね。
それによってしか、新しい発想は生まれてこないわけですよ。

―「知デリ」がそういうことになるんですかね。

まさに「知デリ」なんかがそういうことだね。
「知デリ」にも、いつでもいいんで顔を出してみてくださいね。


 
―ぜひ行ってみたいと思います。今日先生からお聞きしたことを今後の学生生活に大いに活かしていきたいと思います。今日はありがとうございました。



感想

このインタビューを終えて、自分の中で何が変わったかと言うと、それは一言でいうとすれば、
今までの「科学観」や「宗教観」がくつがえったことだろう。
自分は18年間、これまで日本という国でしか生きていない。
そこでいつの間にか出来上がってしまっていた固定観念に気付かされた。
インタビューを通して学んだことは、「出会い」の大切さだ。
海外にいって、日本にはない自然にふれてみたり、さまざまな人に出会ったり、
日本でも、いろいろな考えをもつたくさんの人や本に出会ってみたいと強く思うようになってきた。
「出会う」ことによって自分の中の何かが押し広げられるような、それが「学ぶ」ということの喜びに似ているような気さえした。

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