2010年8月18日水曜日

四方哲也教授へのインタビュー【第4回】













 
 研究と、研究者のことについて聞こうと思います。

 いまポスドクがたくさんあふれてる、って聞いて…


 うんうん、ウチにはいっぱいいますよ(笑)。


 ポスドクが多いことがすごい…「深刻な状況だ!」、みたいな感じで聞くんですね。
 それプラス、「研究者として生き残るのは大変だよ。」っていうのも、よく聞きます。


 わたしは、自分がいる学部が歯学部だから、
 もっとこう…、臨床や患者さんのために応用できる研究をしたほうが、
 生き残れるっちゃあ、生き残れるんだろうけど、
 最近の自分は、生命の起源だとか、進化に興味があるわけです。

 そうなると、研究者として『生き残る』とか、『役に立つ』とか、そういう以前に、
 ただそれについて知りたいのに…


 そうですね。


 「やめられないねんけど…。」、みたいな。


 そうですね。やめる必要もないし…。

 「でも大丈夫なのかな?」、みたいな。


 いやいや、大丈夫か…と言われると…。
 
 …えーとさあ、いや、人生、先のことはよく分からんですよ、もちろん。


 だけど、普通に考えて、あなたたちは大阪大学の学生なわけで、…僕もそうだったんですけど。
 要は、「食うだけでいいです!」、って言っちゃえばさ(笑)、

 …社会の中の、そこそこ学歴もあって、能力もあるひと、
 そこのひとたちが本当に食えなくなってしまう状況だったら、ヤバイですよね。
 社会的暴動が起こるような状況ですよね、それは。


 「お金持ちになりたい!」とか言われたら知らんよ?
 だけど、冷静に見れば、ですよ、ま、「食うだけでいいです!」って言えばさ、
 なんとかなりますねー、と。ポスドクだろうかなんだろうが。


 そうなのか!じゃあよかった。


 うん。僕ももちろん、同じ道を歩んでいて…、僕らの頃はもうちょっと厳しかったんです。
 僕はサラリーマンの子だったし。
 ドクターに行くこと自体大変で、お給料をもらえる所を探さなきゃなんなかった。
 
 でもまあ…なんか、
 「べつに、あさってから、そこら辺の工事現場で、力仕事でもいっか。」、って思ってましたね。


 そう思った途端に、進化の研究は、やれたね。


 ああ…、そうですか。


 うん。だって、いまだってさ、生命をつくるとかさ、危ういじゃん。
 「え?大丈夫?その研究?」ってなるよね。


 僕が進化の研究を始めた頃なんて、もっとそうだよね。
 いまだって学生のひとたちは、「それは研究か?」って思ってるけど。


 僕がホントに…、20代の頃に始めた時というのは、
 進化の研究なんて、引退した後に書物を読む、というようなもので、
 実験でやるようなもんじゃなかったから。
 『進化論』ではあったけど、『進化学』ではなかった。


 だからまあ、なんか、全然…、
 「すごい最適化された人生を歩みたい!」と思ってるわけじゃなくて、
 「まあ、なるようになるわね。」、と、「あまり考えても…。」なんて思ってるぐらいなら、
 なんとかなりますね(笑)。


 そうなのかあ!じゃあ…、いけるかもしれない(笑)。


 うん(笑)。
 だってさあ、いままでよ?深く考えて、「こうしよう!」と思ったって、思った通りにならないでしょ?


 ならない、ならない。ホントならないです(笑)。


 (笑)。


 でしょ(笑)?ならへんねんから(笑)、先のこと心配しても、しょうがないわけですよ。
 むしろ、「状況がきたらふらふらっとしよう。」っていう路線が…

 …自画自賛研究(笑)。どうなのかな、よくわかんないけど(笑)。


 わたし、今回インタビュー相手を探すとき
 理学部の教授さんとかに、「ここの研究室どうですか?」って聞いたりしたんですけど、
 「えっ、そこ何してる研究室なの?」とかよく言われたんですよ。
 研究者どうしって交流ないの?と思ったんですけど。


 そうだねー、まあ、だいたいさ、正直、自分がおもしろいと思うことやってるわけよ(笑)。


 「やってることが面白かったら、いいんじゃないの?ほかの人の話とか?」、みたいな。
 大きい声では言えないけど。


 ああ、じゃあ、交流とか別に…みたいな感じですか?


 大まかに言えばそうですよ(笑)。もちろん知り合いはいるけれどね。


 そうなのかあ。そういうものなのか。


 「自分の研究が面白かったら、それでいいんんだもん。」っていうひとが
 研究者になってるんじゃないのー?

 …あんまり大きい声で言うと怒られそう(笑)。
 いや別に、怒られたって、どうってことないけど(笑)。


 (笑)。


 最後の質問です。
 先生が、生命だなーと感じるときは、どんなときですか?


 生命だなーと僕が感じるとき?


 それは、


 僕の目の前で、僕の思いを超えて、予測を超えて、進化しだしたとき。


 ああ…。 


 どういう方向にでもいいんですけど。


 ぼくがずっと進化の研究をやっていて、「たのしいな。」、と思うのはだいたいいつも、
 じぶんの予測を超えるときなんですよ。


 うんうん。


 まあ、ある意味、失敗なんだけどね…。当たらないんだよね(笑)。実験科学なので。


 でも、その時こそ、いきいきしたものを感じる、かなあ。

 おおー。


 だいたい、ほぼほぼ、『ええー!?』ってなるんよね、実験科学なので。


 でも、その時ほど、


 生きものの研究、
 …まあ、生きものと生きものじゃないものの間の研究をぼくはやってるんだけど…、
 をやっていてよかったなーって思う。


 …ちなみに生きものの研究もやってるんですけどね。


 生きものの研究ですか?


 大腸菌の長い進化の研究とか、
 大きい生物の中に、ほかの生物をいれて飼ってみる、とか。


 飼えるものですか?


 うん。飼えるよ。細胞の中に、いろんな、ちっちゃい器官があるじゃないですか。
 それって昔、大きい細胞が小さい細胞を食べてふえてきたんじゃないか?とか言われてるんですよ。


 それでも、言われてるだけじゃ納得できんしねー(笑)。


 やってみた的な(笑)。


 うん。やってみようかって(笑)。


 「そんなの、できるんかー?」、ってみんな言うやん。
 それをやってでも…なんとかなるからね。
 研究室のひとたちはみんな、「大丈夫なんか…?」って思ってるだろうけど、ははは(笑)。


 他の先生の研究とか、「どんだけマジメやねん!」といつも思うし。


 え、思われます?


 だって、キチッとしてるでしょ?カタいでしょ。


 ここみたいな研究室ってレアなんですか?


 レア…だと思いますよ。他の研究室に行ったらわかると思いますわ。
 「ええー?」みたいなことになってると思うよ(笑)。


 なんかね、子どもが思いつくようなことやってると言っちゃえば、そうやんな。
 「いきものつくりたい!」、とか、「どういうふうに進化するんやろう?」、とかね。


 …「もっとかっこよく言えよ!」、とか、「役立つこと言えよ!」って(笑)。


 (笑)。
 (笑)。


 いやいや、「言え!」、言われたら言えるよ?でも…、心根はそうなってないし(笑)?


 …大丈夫かな。上手に編集しといてください(笑)。


 がんばります(笑)。ありがとうございました。




 ▼インタビュー後、研究室をウロチョロさせてくれた時に、付き添いカメラ係のハタエリ氏が撮った写真たち。

←実験する部屋みたいな所。
  見たこともないようなものが色々あります。








←どこかの部屋のドアを開けたら人がいました。
  お名前を忘れてしまいました。










←その部屋にあったパソコン。何か映ってます。
   これが何かパッと見で分かる日が来るのかなー。








←機械①








←機械②
  機械のある部屋は寒かったです。
  機械はワガママなんだって。
  たいへんねー。








 ←インタビューした場所。綺麗すぎて焦りました。
  ここの研究室って、キレイ好きの人が集まる場なのかな。
  
  歯学部のクラス担任の研究室はめっちゃ汚いというのに。
    
  自分の部屋の、異常とも言えるカオスっぷりを考えると、
  将来、少なくともココの研究科には来れそうにない気がします。

   どうしよおおおー。




    
←事務(秘書?)さんたち。
  優しかったです。コーヒーをご馳走になりました。

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