2010年8月5日木曜日

小林傳司(こばやし ただし)先生のインタビュー その1

小林傳司 教授へのインタビュー

~出会うことで生まれるものがある~

日時: 6月23日 

インタビュアー: 環境・エネルギー工学科一回  落合 智弘

1.知デリ

―ぼくが先生にインタビューをしたいと思いましたわけは、先生が中心となって企画なさっている「知デリ」というものに興味をもったからなのですが、その「知デリ」とはどのような主旨のものなのか、お聞かせください。

知デリっていう企画は、アップルストアでやっているものです。
アップルストアは、大阪では心斎橋にあって、そこの一階は商品が置いてあり、二階は修理とかを受け付けるところでステージもあって、そこでは新製品の発表、セミナーなんかをやっています。
知デリでは、そのステージでトークショーなんかを企画してやっています。
東京では銀座にあって、そこでは一フロアーが全部、座席とステージになっている。
そこでもやっている。どちらでも、理工系の人間とアーティストのような組み合わせでトークショーを開いています。
最初は、どういう組み合わせなら面白いかということを考えるのだけれども、まず考えたのが、「アートって何のため?」ということでした。
アーティストっていう人たちはいろいろやっているけど、その活動のおかげで日本のGDPが大幅に増えるわけでもないですよね。
例えば、工学部っていうのはどこかで社会とつながっていて、日本は明治以来工学にかなりの投資をしてきたし、やはり役に立ちます。
しかし、アーティストっていうのは、何のためって聞かれると、いつも困るわけです。
それで、そのアーティストとよく似た構造のものが大学にはもうひとつあって、それは理学ですよ。
ところで、君は何学部ですか?

―工学部です。

理学部って受けようとは思わなかった?

―数学とかは好きなんですけど、やっぱり工学の方が社会と繋がっているイメージがあったもので。

だよね。やっぱりそういうイメージがあるんだよね?
理学部では例えば、素粒子論の研究とかあるけど、あれによって産業界に何かインパクトのあるビジネスモデルができるかというと、それは思いつかないでしょう?
そういうように、理学っていうのは、役に立つのかって基準で考えると、役に立たないですよ。
それで、理学部の人は悩むわけです。
そのへんはアーティストに似ているでしょう。
理学もアートも多分好きでやっているのでしょうが、役に立つとはなかなか言えないわけです。
しかし、なぜか人類社会は昔から、芸術やサイエンスというものを大切にしてきたわけだよね?
これはなぜだろう?ということで、同じ悩み方をしているアーティストと理学系のサイエンスの人を組み合わせて議論をさせてみたら面白いのではないかということでやってみました。
そうしたら、それがおもしろいと思ったのか、学生のチームがそれに乗ってきて、最近は東京の方は大人のグループが、大阪の方は学生のグループが企画しています。

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