◇ C.1.中国国内の経済格差が縮まらない理由とは
まず、考えなければならないことは、「経済格差は全部が全部悪い」となるのかということ。経済というものは誰が考えるかによって目標や、目的が変わってくる。例えば国家ならば、なるべくバランスよく均等に経済成長を促すという国の立場があるが、企業の場合では、企業価値を上げること・企業の拡大をすることが目的であり、このように国家と企業では、見方の違いがある。
最近では、ある程度の経済の格差は仕方がないという考えが生まれている。人の能力の問題であったり、場所の問題であったり、さまざまな問題があるために、同じようにするには無理があるケースが多い。また今の時代は、先で見たとおりグローバル化、ボーダレス化により全てが、国の思うようにいかないというのが現状なのである。企業は拡大を目指すために、常に最適化を図り、集中と分散をするため、国の力ではこの偏りは変えられない。そのような場合ではある程度の経済格差は仕方がないものなのだ。
中国の状況はどうであるかというとは、実は意図的に格差を作ることによって今までの経済成長を達成してきた。中国という国は、自分の国の力だけで経済を発展させる条件がなかった。そこで、資本主義の市場を活用し、または、対外的な経済をつくることによって経済発展の基盤をつくった。ここで、海外にアクセスしやすい経済特区など、それに適した場所を選ぶことによって、外国の方から人・お金・物がそこに集まる。その結果、どうしても経済の格差がでることは仕方がないものであった。経済発展のために、世界との繋がりを強めたが、内部はバランスが欠けるような状態になったのだ。
しかし、いくら中国の経済が発展したからといっても、この格差をそのままの状態で放置していてもいいかと言われたらその答えは当然NOである。中国だけが経済の発展をしているというのはある意味間違いで、アメリカや日本と同様に、世界の金融危機でのダメージは中国にも降り注いでいる。今の中国はインバランスの下に成り立っているため、今まではこの状態でも自国の経済成長に対して国はまだ成り立っていたが、これからは点検、あるいは方向転換が必須なのである。そうでないと、持続する成長は見込めないのだ。
例えば、外需に頼りすぎずに内需を重視したり、投資だけに熱を入れるのではなく今の経済大国のように消費活動を活発にしたり、企業のプロジェクトや設備の巨大化を図るだけでなく、環境やエネルギー問題を考慮した効率の良い設備をつくる。そして、都市と農村の格差をゆっくりと時間をかけてでも、是正するように努めることによって、社会の底辺部にいる人々にも経済活動への積極的な参加を促し、真の経済発展、つまり安定した社会を目指すべきなのである。
謝辞
このたびは、許先生とのインタビューを通して、中国経済のことについての勉強になっただけでなく、インタビューにおいて自分の聞きたいことをちゃんと聞くことができるか、インタビューで聞いたことをしっかりと理解し自分の言葉であらわすことができるかなど、インタビュー・調査をすることの大変さを身にしみて体感しました。
しかし、それ以上に今回のように貴重な体験ができたこと、また、本などの情報のみでは知ることのできないことまで直接聞くことができたことに大変満足しています。このインタビューで得たものは今後の自分にとって本当に意義のあるものになったと確信しています。お忙しい中、1時間半にもわたるインタビューで、丁寧に、そして熱心にお答えしてくださったことにこの場を借りて今一度感謝申し上げます。
本当にありがとうございました!
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